離婚を進める際、相手と同居しているか別居しているかで対応方法や注意点が異なります。
今回は夫や妻と同居しながら離婚を進める方法について、名古屋で離婚トラブルに力を入れている弁護士が解説します。
目次
同居したままでの離婚の進め方、流れ
同居しながら離婚を考えているなら、以下の流れで進めていきましょう。
まずは証拠や資料を集める
離婚するには、相手と話し合いをしなければなりません。しかしいきなり離婚話を持ちかけるのは得策とは言えません。まずはしっかり「離婚の準備」をしましょう。
たとえば財産分与の資料を集めたり離婚後の生活設計をしたりします。相手が不倫している場合には不倫の証拠も集めておくべきです。しっかり証拠が揃った時点で相手に離婚を切り出せば、段違いに離婚を有利に進めることが可能です。
相手に離婚を切り出す
資料や証拠を集めたら、相手に離婚を切り出しましょう。できるだけ相手がリラックスしていて時間に余裕のあるときに冷静な態度で離婚の話をすると、スムーズに進みやすくなります。
離婚条件を取り決める
相手が離婚に応じる場合には、離婚条件を話し合って取り決めましょう。最低限子どもの親権者を決めなければなりませんし、それ以外にも養育費や財産分与、慰謝料や年金分割なども決定すべきです。お互いに納得できるまで話し合いを継続しましょう。自分で交渉するのが負担になる場合、弁護士に任せることも可能です。
また同居しながら協議する場合、お互いが離婚後にどこに住むのか(どちらかが家を出て行くのか今の家を処分してどちらも家を出て行くのかなど)も決めておく必要があります。
協議離婚合意書を作成する
合意ができたら合意内容をまとめた「協議離婚合意書」を作成します。合意書には取り決めた離婚条件を逐一記入し、夫婦双方が署名押印する必要があります。
離婚公正証書を作成する
協議離婚合意書ができたら、公証役場に持ち込んで「離婚公正証書」にしておくようお勧めします。公正証書は紛失や破棄隠匿のおそれがありませんし、支払い義務者が支払いを怠ったときにすぐに差押えができて都合が良いからです。
離婚届を提出する
離婚公正証書ができたら、それと前後して離婚届を作成して役所に提出します。これにて離婚が完了します。
どうしても協議が整わない場合の対処方法
同居中に相手と離婚協議をしても、どうしても合意できないケースがあるものです。そういったケースでは以下のように対処しましょう。
離婚調停を申し立てる
協議離婚ができないなら、調停離婚を目指します。そのためには家庭裁判所で離婚調停を申し立てる必要があります。
「同居したまま離婚調停できるのか?」と疑問を持たれる方もいますが、可能です。ただ家庭裁判所からの呼出状は同じ住所に届きますし、調停では調停委員を介して話をしているのに家に帰るとお互い顔をつきあわせることになるので、気まずい雰囲気になったり口論になったりする可能性はあります。
離婚調停でお互いに離婚条件に合意できれば調停離婚が成立します。
離婚訴訟を提起する
調停でも合意できない場合、調停は不成立となって終了します。それでも離婚を進めたい場合には家庭裁判所で「離婚訴訟」を提起する必要があります。一般的に「同居したまま訴訟はできない」と思われているケースもありますが、同居中でも離婚訴訟は可能です。
ただし同居していると「婚姻関係の破綻」が認められにくくなる可能性はあります。
離婚訴訟で離婚原因を証明すれば裁判所が離婚を認めてくれます。離婚条件についてもすべて判決で決定してもらえます。
いったん別居する方法もある
同居したままでは冷静になることができず協議も調停も難しい場合、いったん別居した方がスムーズに離婚できるケースがあります。
別居には手間も費用もかかりますが、離婚にはある程度の出費が必要です。同居の継続か別居か迷ったときには弁護士にご相談頂けますとアドバイスもできますので、よかったらご利用下さい。
同居したまま離婚する際の注意点
同居したまま離婚協議や調停を進めると、いろいろな問題も発生します。以下では同居したまま離婚する際の注意点をご説明します。
ストレスが溜まる
離婚はただでさえストレスの溜まるものです。まして同居しており相手と毎日顔をつきあわせていると、より大きなストレスがかかるでしょう。毎日口論が絶えない状態になったり暴力を振るわれたりするおそれもあります。
耐えられなくなったらいったん別居するようお勧めします。
相手が離婚に応じないなら別居した方が良い
離婚を進めようとしたとき、相手が離婚に応じるケースと応じないケースがあります。応じるケースでは同居したまま離婚協議を継続しても良いのですが、応じないケースでは同居を継続しない方が有利に進みます。相手が離婚に応じないときにはこちらが「婚姻関係の破綻」を立証しなければなりませんが、同居したままだとなかなか「破綻」と認めてもらいにくいからです。相手から「日常会話もしているし普通に夫婦として暮らしている」などと主張されるおそれもあります。
相手が強硬に離婚に応じないなら、できるだけ早めに別居して離婚調停や訴訟を進めた方が良いでしょう。
DV事案でも別居した方が良いケースが多い
離婚原因によっても、同居より別居が適している事案があります。
たとえばDVやモラハラ被害を受けている場合、同居したままでは相手からさらなる被害を受ける可能性が高くなります。妻が離婚を切り出したとたんに夫が暴れ出して妻が大けがをする事例もあります。
こうした危険があるケースでは、早めに別居すべきです。別居に不安がある方には弁護士がアドバイスやサポートをしますので、お気軽にご相談下さい。
同居したままでも離婚できますが、場合によっては別居した方が良いケースもあります。また同居している状態でも弁護士によるサポートがあると離婚がスムーズかつ有利に進みます。名古屋で同居中の配偶者との離婚を考えているなら、一度弁護士までご相談下さい。